vol.55 今年も誰かがハジになる。

「さやこ!ごはん食べに行くよ!」

と言われて業務用の車に乗せられ、着いたところは知らない人の家でした。

…ということが、時々あります。

というのは前回の使いまわしですが…笑、前回のようにいつも結婚式とは限らないのです。

インドネシアは約90%がイスラム教徒。そして、私の住む町はほぼ100%がイスラム教徒です。

朝から晩まで一日五回お祈りを捧げる彼らが目指す場所は…メッカ。

メッカはイスラム教徒の総本山のようなところ。敬虔なイスラム教徒にとって、メッカに行くことはそれこそ人生の大きな目標。

他の地域についてあまり知らないのですが、ロンボク島からは年に一回、断食月が終わった後に、ツアーのごとく連れ立ってメッカに行くようです。

そして、メッカに行く前には、メッカに行くことができることを周囲の人々と共に祝います。

私の知っている限り、開催地は自宅。メッカに行くことが決まった人は、俺はついにメッカに行くぞー!という垂れ幕を自宅入口に飾り、日よけのための巨大なテントを張り、決まった日程でお祝いします。

お祝いの内容は結婚式とほぼ同じスタイル。事前に招待状をいただくのですが、その知り合い、同僚など、とにかく大勢の人が参列します。

やっぱりこのお祭りでも、知らない人を祝う私…(一度だけ配属先の別部署の方を祝ったこともありますが、行ってみるまでその方だとわからなかったよ!)

ご自宅に行き、メッカに行く人(ご夫婦で行かれることが多い)におめでとうを伝え、インドネシア料理をいただいて、満腹になったところでもう一度おめでとうを伝えて帰ります。

三回ほどお祝いしに行ったことがありますが、ご祝儀等をお渡ししたことはないです。そのような習慣はないんかね。タダ飯美味しい…笑

結婚式もそうなのですが、知らない人だろうがなんだろうが、自宅にたくさんの人が訪れて祝ってくれて、ニコニコしてごはんを食べていく。それもほぼ自腹で振舞っているのに。

インドネシア人のお給料は決して恵まれているわけではなく、本当に貧しい人もたくさんいます。メッカに行ける人だって、普段からぜいたくしているわけではないのです。

にもかかわらず、お祝い事を大切にし、与えることを喜ぶ人々の姿は、時として美しく映ります。

インドネシア人、ふところが広い!ごはん美味しい!笑

なお、メッカから帰ると、その称号として男性も女性も「ハジ」と呼ばれるようになります。名前にハジがついているとメッカに行った偉い人、と一瞬でわかります。

例えば私がメッカに行ったら、ハジ・沙也子・柳澤になる模様。改名する予定はないんですけど…(イスラム教徒になる予定もないですけど)。

ちなみに、ロンボク島からメッカに行く費用は約4000ドル前後が相場のようです(道に飾ってあった案内より、変動ありかと)。

インドネシアは親日国で、私が日本人とわかると大半の人が、「私も日本にいきたーい!」と言ってくださるのですが…(そして時々、私も日本に連れてって!!と無茶ぶりされるのですが…)、

4000ドルあったら日本へのチケットどころか観光旅行も余裕でできちゃうよ。メッカより日本のほうがずっと近いよ!!

とは、敬虔なイスラム教徒に言う気になれず(宗教は尊重せねば…)、今日も日本に行きたいと人々にせがまれる柳澤でした。